日本には古くから神社とお寺が全国各地に配置されています。
恐らくこの記事を読んでいる人も年に1回は訪れていることだと思います。
しかしいざ「神社とお寺は何が違うのか?」と聞かれてしまっても意外と言葉に詰まってしまうのではないでしょうか?
今回はそんな方の為に神社とお寺の違いについてまとめてみました。
- お寺と神社の違い
- 神道と仏教の違い
- 初詣はどっちに行くのが正解か?
についてご説明していきます。
この記事を読めば神社とお寺の違いを理解することができるので、
双方の違いがよくわからない人は是非参考にしてください。
神社とお寺の違いについて
神社とお寺の違いはザックリ分けると
神社・・・神道の宗教施設
お寺・・・仏教の宗教施設
となります。
神社やお寺の違いを説明する前に、
根っこの部分となる神道と仏教の違いについて、まずはそこから説明していきます。
神道について
神道とは日本古来から信じられてきた日本の宗教です。
日本では昔から地震や津波、噴火と言った自然現象はすべて神様がお怒りになったものと信じられてきました。
その為神様の怒りを鎮める為にイタコと呼ばれるシャーマンに神様の御言葉を聞き、
時には生贄を用意する事もしてました。
とはいえ、神様は怖い面だけではありません。
私たちが普段通り生活できるのも、太陽神である天照大御神(あまてらすのおおみかみ)を始めとする、
八百万の神様が見守っているからこそです。
つまり日本人は古くから神様と共に生きてきたとも言えるわけで、
神道とは私達日本人にとって非常に身近な宗教という事になるわけです。
自覚していないだけで、神道の考え方は日本人の奥深くに根付いているんだよ。
仏教について
仏教とはインドから中国を経由して伝わった外国の宗教です。
仏教が広まったのは、今から1500年程前の飛鳥時代だと言われています。
その頃の日本は、日本を発展させようと中国(当時は隋)に使いを送って積極的に外国の文化を取り入れる活動を行っていました。
これによって様々な文化が日本に輸入されましたが、その中でも特に日本に影響を与えたのが仏教です。
仏教を取り入れる事により、その後の日本の仕組み(律令制)や憲法(十七条の憲法)をつくる際に大きな影響を与えてきました。
仏教の僧が天皇になろうとしたこともあったね。(宇佐八幡宮信託事件)
このように日本は仏教とともに発展をしてきた国と言っても過言ではありません。
信仰する対象が見えるか見えないか?
神様と仏様は、『人間か否か』が最も大きな違いだと僕は考えています。
日本の神様は実態を持たない存在とされており、誰もその姿を見る事はできません。
ですがその代わりに石や木、山といった自然物や特別な宝具を神様が宿るご神体として崇める事で、
私たちは神様を感じる事ができるようになります。
一方、仏様はインドの小国の王子である釈迦がモデルになっているので元は人間です。
そしてその釈迦の生前の様子を現したのが仏像となるわけなので、
私たちは仏様がどのような姿をしているのかを、はっきりと確認することができます。
大仏様はどんな姿か分かるけど、天照大御神様はどんな姿かわからないよね~。
神仏習合について
仏教が日本の発展に大きく関わったと言いましたが、最初はやはり日本の中でゴタゴタはありました。
なにせ日本の神様と外国の神様が1度に信仰対象となったわけですからね。
例えば奈良時代では、日本にいる神様を仏様の御力で救わないといけないという考えが生まれ、
地方によっては神社の中にお寺を建築しました。
また平安時代には、仏様は日本の神様の仮の姿であるという考え方である本地垂迹説(ほんじすいじゃくせつ)という説が流行りました。
この説によって、日本の神様と外国から来た仏様は同じものという考えが生まれました。
この考えを神仏習合(しんぶつしゅうごう)と言います。
神仏習合は明治時代の神仏分離令が発令されるまで続いたとされているので、
実は神道と仏教が分かれてから、そこまで時間は経っていません。
お寺と神社が分かれたのはそんなに昔じゃないんですよね。
神社とお寺の違い
神道と仏教の違いは大まかに理解できたと思うので、
今度は神社とお寺の違いを見てみましょう。
- 参拝の手順が違う
- 神社は鳥居/お寺は山門
- 神社は神主/お寺はお坊さん
- 神社は御神体/お寺は仏像
- 神社はお供え物が自然そのもの/お寺は調理されてるもの
細かく解説するとまだありますが、代表的なのはこれぐらいだと思います。
それぞれ解説していきましょう。
参拝の手順が違う
皆さんは神社での参拝の手順はご存じでしょうか?
意外と忘れている人もいると思いますので、ここで一旦おさらいしましょう。
- 鳥居をくぐる前に1礼する
- 参道はできるだけ端を歩く
- 手水舎で手と口を清める
- 拝殿に進み、鈴を鳴らした後にお賽銭を入れる
- 二礼二拍手一礼で祈祷する
ここでのポイントは④と⑤です。
神社・・・二礼二拍手一礼
お寺・・・手を合わせて静かに拝む
神社では二礼二拍手一礼(2回お辞儀をして、2回拍手をした後、1礼する)が基本ですが、
お寺では手を合わせて深くお辞儀するだけでOKです。
また、お寺に香炉というお線香を焚く場所がある場合は、
まずそこで線香をお供えして体を清めてから参拝するようにしましょう。
神社は鳥居/お寺は山門
神社といえば、入り口にそびえる大きな鳥居ですが、基本的に神社にしか鳥居はありません。
お寺にはその代わり、山門と呼ばれる大きな門があります。
鳥居・・・神々が住む場所と、人間が住む場所との境界を表す
山門・・・仏道の世界と人間が住む世界との境界を表す
根本的な意味は両方とも同じです。
ただし神仏習合の影響で、中には山門がある神社もありますし、鳥居があるお寺もあります。
神社やお寺に行った時に探してみよう!
神社は神主/お寺はお坊さん
神社には神主がいます。
この方は神社で神様に奉仕する仕事をしている方です。
役職は宮司(ぐうじ)が最高位となっており、
そこから権宮司(ごんぐうじ)→禰宜(ねぎ)→権禰宜(ごんねぎ)→出仕(しゅっし)となります。
ちなみに巫女さんは神職を補佐するのが
一方お寺はでは神主さんではなく、仏様に奉仕する僧侶がいます。
そこから更に、教えを説く和尚、寺院で住み込みで奉仕している住職、そして女性の僧の尼といった違いがあります。
神社は御神体/お寺は仏像
冒頭の神道と仏教の違いでお話したように、日本の神様は目で見ることができません。
その代わり神様が宿っているとされている御神体に対して祈祷します。
とは言っても御神体は神社の奥にある本殿と呼ばれる施設に安置されている為、
私たちが見ることは滅多にありません。
その代わり私たちは拝殿と呼ばれる祈祷をする為の場所で鈴を鳴らし、お賽銭を投げて祈祷するわけです。
一方お寺では祈祷を捧げる対象として仏像が安置されている為、私たちは仏像に対して祈祷を行います。
祈祷する対象が見えるのか?見えないのか?というがポイント。
神社はお供え物が自然そのもの/お寺は調理されてるもの
神社とお寺ではお供え物でも違いがあります。
神様にお供え物をする時は、主に稲や野菜といった自然物や、
縁起物としてスルメや昆布をお供えするのが一般的です。
一方仏様は元々は人間なので、野菜や稲をそのままお供えされても困ってしまいます。
なのでお饅頭や炊いたお米と言ったように、一度手を加えたものをお供えするようになっています。
確かに僕が稲をお供えされても困るかも・・・。
初詣に行くには神社?お寺?
1年前の記事ですが、初詣に行くならどっち?というアンケート調査を行ったようです。
・神社:63%
・お寺:4%
・どちらでもよい:33%
引用:ウェザーニュース
結果は↑のようになりました。
世間一般では初詣=神社という認識が多いみたいですね。
ですが結論としては、どちらで参拝しても良いとされています。
明治時代以前は冒頭で話した神仏習合の考えで神様も仏様も同じとして信仰されてきたので、
そこまで厳密に分けなくてもよい、とされています。
しかし、神社とお寺では参拝方法が違うので、そこだけは注意しましょう。
まとめ
いかがでしょうか?
神社とお寺の違いは沢山ありますが、今回は代表的なモノを上げてみました。
今回挙げた中で私たちが直接関係するのは参拝方法の違いなので、そこだけでも意識しておくと、
今後参拝する時に役に立つと思います。
皆さんの神社・お寺参拝の少しでもお役に立てますように。
以上で本記事は終わりです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。